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2011年6月 7日

意図的な「想定外」と、20世紀資本主義社会における「7つの大罪」

今の日本の政治は、一体何をやっているのでしょうか。未曾有の大震災、そして世界最悪の原発事故が現在進行形であるにも関わらず、羅針盤としての役割を担うべき政治家達が、自らの利権を獲得するためだけに動いているように見えるのは私だけでしょうか。特に、原発事故への対応を一歩間違えば、さらに多くの日本のさまざまな力が失われる事態になり得る状況であることは、震災から3カ月経過した現在もなんら変わりありません。日本国は存亡の危機に立たされていると言っても過言ではない、この客観的事実を今の政治家達はどこまで理解できているのでしょうか。それとも、あまりの想定外の事象に直面してしまったがために疲労困憊し、感覚が麻痺してしまったのでしょうか?

幸か不幸か、人間には「適応能力」が備わっています。歴史的にみると、ペストや結核、インフルエンザなど、これまでどんなにひどい感染症が流行しても、人類は必ず生き残ってきました。免疫の観点では、どのような感染症に対しても、免疫を獲得できた人が常に存在していたからです。また、日本は島国として台風や地震、噴火など、昔から多くの自然災害に見舞われてきました。それでも、我々の祖先は立ち上がってきました。

ただし、このような適応能力では対処できない事象が存在します。第2次世界大戦における広島・長崎の原爆投下後はどうだったでしょうか。爆心地から500メートル以内での被爆者は98から99パーセントが死亡し、500メートルから1キロメートル以内での被爆者では、約90パーセントが死亡したことが報告されています。放射能とは、そういう人間の適応能力を遥かに上回ってしまう有害性があるものだということです。放射線は、がん治療において現在用いられていますが、がん細胞と正常細胞の放射線に対する適応能力(感受性)には実はほとんど差はありません。放射線は、その細胞ががん細胞だろうか正常細胞だろうが区別なく、分裂が盛んな細胞の遺伝子(DNA)に対して同じように作用します。たとえきちんと制御されたがん治療における放射線治療後であっても、患者様の免疫力は確実に低下します。私達のクリニックでは、詳細な「総合免疫機能検査」により免疫力を客観的に評価して治療方針を構築していきますのでこのようなデータを把握しているのですが、免疫細胞は放射線障害に弱いのです。さらに今回の原発事故後の放射能被曝は、単なる「外部被曝」だけでなく、いまだ拡散し続けている放射性物質による「長期的な内部被曝」の影響が今後問題になります。特に、赤ちゃんや小児期においては、成長のための細胞分裂が盛んな時期ですから、放射線障害の影響は大変受けやすい状況にあります。このような未曾有の長期に及ぶ外部+内部被曝に対して、はたして人類にはどのくらいの適応能力が備わっているのでしょうか?専門家が何と言おうと、この原発事故後の経過を的確に想定するためのデータがない以上、必ず想定外はあるのです。それが、我々が今回の大震災・原発事故から学ぶべき教訓ではないでしょうか。

原発問題には、意図的に「想定外」を作ってきた歴史が存在します。20世紀の資本主義社会において「原発を推進すること」が最大の目的になってしまい、「原子力発電所からは放射能は絶対に漏れない」ことを意図的に盲信して原子力発電所の安全対策は計画されてきた歴史が、2011年5月23日の参議院行政監視委員会にて報告されています。
2011年5月23日参議院行政監視委員会

今後も「想定外」を意図的に「想定」しないのなら、ドイツのように日本も原発は全廃すべきでしょう。もう一度、原発事故を起こしてしまったら日本は滅ぶ・・・これは決して想定外の事象ではありません。すでに日本の一部は失われてしまったのです。人類の適応能力を超えてしまったとしたら、その先には何が想定されるでしょうか?想定したくない事象を、やっぱり「想定外でした」などと言い逃れをするような時間的猶予は我々には残されていないはずです。
最後に、先ほどの参議院委員会において、発表された小出裕章先生(京都大学原子炉実験所助教授)が、最後にマハトマ・ガンジーの言葉を引用されましたので、改めてここで御紹介させて頂きます。私達は、これから何のために「原発問題」を考えていくのか。人類の存在自体が永遠でなくなったとき、私達はその時には「想定外でした」とすら言えなくなっているのです。

20世紀資本主義における「七つの社会的罪 (Seven Social Sins)」:
1.理念なき政治 Politics without Principles
2.労働なき富 Wealth without Work
3.良心なき快楽 Pleasure without Conscience
4.人格なき学識 Knowledge without Character
5.道徳なき商業 Commerce without Morality
6.人間性なき科学 Science without Humanity
7.献身なき信仰 Worship without Sacrifice

7つの社会的罪.jpg

2011年4月28日

 今回の地震は未曾有の被害を広範囲にもたらし、そしてまだまだ、さらに拡大していく恐怖をはらんでいます。もとより続いていた景気の低迷もあり、日本全体が深い谷底へ落ち込んでしまったようでこの先どうなってしまうかと不安な方が多いことと思います。映像で見る津波の恐怖、放射能や汚染された食品への不安、まだまだ続く余震など、考え出すと気が滅入るばかり、そこに電力を中心とした消費に対する自粛ムードが追い打ちをかけ、心の底から笑えるような機会が失われてしまいました。
 ただそれでも、徐々にではあるものの復興への支援の機運が盛り上がってきており、義援金や物資に加え、"元気"や"笑顔"を取り戻すためのボランティアや芸能人・著名人の活動が連日報道されています。
 さてこの「笑顔」、"笑う"という行為ですが、我々の行う治療の軸でもある"免疫"を活性化することが様々な研究で明らかになってきており、ご存知の方も多いと思います。"笑い"は副交感神経を刺激し、副交感神経は体をリラックスさせ血流や体温を上げ代謝を促すことで体内循環をよくする作用があるのです。実際、治療に落語を取り入れ、免疫力をあげて効果を高めるという試みを行っている医療機関もあります。
 がんをはじめ様々な病気に対して有効である"笑う"ということは、当たり前ですが特別な技術は必要なく、気の持ちようで誰にでもできます。従ってこの"笑い"を生み出せるような環境作りや気持ちのコントロールができれば、全ての人が生まれながらに持っている"免疫力"を活かすことができ、被災地の皆さんの疲れや病苦が少しでも減らせるのではないかと思います。我々免疫療法を行う機関としても、そういう意味での支援もできないかと考えねばならないと思っています。

 ちなみに、アメリカ・アイダホ州にあるポカテロ市というところには「笑顔のない人は逮捕する」という法律が施行されているそうです。それもなんと50年以上も前から!その条例(市条第1、100号)には、

 第1条 ポカテロ市民で不機嫌な顔をしている者は罰する。
 第2条 笑う習慣を身につけるため、毎年「笑顔習慣」を設ける。
 第3条 笑顔チェック署を新設して、笑わない人を逮捕する特別官を置く。
 第4条 条例に違反して有罪になった人は「笑顔作りの講習」を受ける。

とあります。"笑顔首都 in USA"の宣言どおりユーモアと笑顔あふれる魅力的な町だということが想像できます。きっと病気は少なく元気な人が多いのでしょうね。
 
 被災地の皆さんが1日でも1時間でも多く笑顔でいられますように!

セレンクリニック 医療連携担当 川上

2011年4月16日

少しずつ空気が暖かくなるのを感じ、春の訪れを思う今日この頃です。

先日、東京都文京区にある「六義園」のしだれ桜を見に行ってきました。

その日は天気が良く青空に桜のピンク色がとても映え、
本当に綺麗でした。
そよ風が吹くと桜の花びらがチラチラと舞い、
日差しが強いこともあり風がとても心地よく感じられました。

なかなか出不精な私ですが、
たまにはこんな休日の過ごし方もいいなと、
良い「気分転換」になりました。

普段の休日はなかなか朝も起きられず、
生活リズムが崩れがちです。
朝からしっかり日の光を浴びて、
ばっちり目を覚ますことで、
夜もしっかり眠ることができます。
免疫を高めるためには
良質な睡眠が必要とされています。
また、適度な運動も良いとされており、
今回の庭園お散歩は
日ごろ運動不足の私にはもってこいでした。

あまり上手な写真ではありませんが、
立派な「しだれ桜」をご紹介できれば幸いです。

春を感じるとは言え、まだまだ夜は冷えますので
皆様、風邪をひかぬようお気を付けくださいね。


桜 画像.jpg


セレンクリニック東京 看護師 池田

2011年4月12日

 震災前日の3月10日、東京国際フォーラムにて「がん治療用ワクチン臨床開発の最新情報」というシンポジウムが開催されました。このシンポジウムでは国内外の研究者によるがんワクチンの最新の現状とこれからの展望、課題についての講演、ディスカッションが行われました。
 セレンクリニックのがん免疫療法「樹状細胞ワクチン療法」も、がんワクチン治療の一つで、いま話題の「がんペプチドワクチン療法」をさらに強力にした治療法です。世界中で研究されているがんワクチン情報を得たい、という訳で、シンポジウムに参加して参りました。

 [各国の研究環境と日本の課題]
 昨年2010年4月、米国食品医薬品局(FDA)により、がん治療用ワクチンが初めて承認されました。(前立腺がん)これは患者さん自身が持つ特異的免疫機能を上げることが臨床的に有用であることが公的に証明され、人類がガンに対して新しい治療法を手にしたことを意味する、極めて画期的なものであると言えます。

 FDAの承認後、がんワクチンについては国内外でさらなる研究が進められていますが、研究環境として日本は遅れているようです。現にFDAでは数年前からがんワクチン臨床試験についての指針を公表し、米国内ではこの指針に基づいた様々な研究開発がなされてきました。治療効果の評価方法は従来の化学療法のような腫瘍の縮小評価から、生存期間での評価に変わってきています。しっかりとした指針があるため、研究が行いやすい環境といえます。欧州にはFDAのような指針はまだありませんが、欧州域内で他国の情報を自国に取り入れる制度があり、ドイツを中心に積極的に研究がなされているようです。
 これに対し日本には、まだ明確な指針や情報共有システムがありません。現在、日本でのがんワクチン治療は、薬事法という法律の範囲内で行われていますが、ワクチンは薬でもないので、指針やルールがなかったり曖昧だったりする中で個別に対応せざるをえず、このため研究が行いずらいと言われています。現に、ある研究について、日本では認められなかった補助金がフランスで認められ、それを元にフランスで研究を進めているケースもあるそうです。FDA承認後も、まだまだ日本におけるがんワクチン治療への認知は遅れており、今後の大きな課題であると実感させられます。

 [がんワクチン効果の特徴]
 米国国立癌研究所のジェームズ・L・ガリー博士によると、がんワクチンにおけるワクチン応答は即効性がないこと、また、十分に機能する為の免疫系が必要、であることが示唆されました。また、疾患の初期にがんワクチン治療を始めれば、より効果が得られることも示されました。
 肺がんのデータで、早い段階では抗がん剤による化学療法の方が、がんワクチン療法より生存率が高いデータが得られたが、期間が経過すると生存曲線はクロスオーバーして逆にがんワクチン療法の方が生存率が上がってくる、というものが紹介されました。優位性までは言えないそうですが、がんワクチンに即効性はないものの、効果は長期にわたって持続し、生存率が高くなるという可能性が示されたのではないかと思います。
 さらに、事前の化学療法の件数、種類が少ないほどがんワクチン治療効果が出ること、前回の化学療法実施時から間を開けた方が、よりよいデータが出たことが紹介されたことは興味深いといえます。
 現在のがん治療では、複数の治療(標準治療)を受けている人が多いので、早期にがんワクチンなどの免疫療法を受ける方が少ないのは各国共通のようですが、標準治療とがんワクチン治療をバランスよく、早期から行っていくことが重要だと考えられます。

 [今後の展望]
 セレンクリニックではすい臓がんの患者さんが最も多いですが、がんワクチン治療全体で見てもすい臓がんは多いようです。膵臓がんに対してはジェムザールやTS1をアジュバントとしてがんワクチン治療を行うケースも紹介されましたが、原発巣や肝転移が縮小、消失するケースも報告されました。セレンでも同様の効果が得られています。ホームページに症例報告がありますのでご覧ください。

 現場で耳にする患者さんの声として、「全く希望を失って生きていくのは本当に辛い」という言葉を耳にします。これは同じく医療者にとっても辛いことです。患者さんに生きていく希望を与えるのが医療者の使命であり、そのために何ができるか、常に考えなくてはなりません。
 すい臓がんの女性患者さんで、生後6か月の赤ちゃんがいらっしゃる方の話です。医師からは、この赤ちゃんの1歳の誕生日は一緒に迎えられないだろう、と言われましたが、がんワクチン治療を行い、2歳の誕生日を一緒に迎えられ、まだお元気だそうです。
 我々医療者は皆、最後まで絶対に諦めないことを信念として持っていると思います。癌治療を行っている医療者として、この治療がより国内外に広がり、さらなる研究成果を上げる責務を痛感しています。そのために国家レベルでのプロジェクト(国策)として環境整備が必要だと思います。世界ではパラダイムシフトががんワクチン療法に起こりつつあると言えます。日本が孤児にならないよう、いま対応が求められています。

 FDAのバラート・H・ジョシ博士によると、日本当局には専門知識を有した人間が少ないそうです。まずは体力をつけ、規制的ではなく能動的、積極的アドバイスを行うような医療当局が必要であると指摘しています。現在、FDAは日本の医療当局と非公式ながら議論を始めているそうで、コラボレーションはスタートしているようです。ジョシ博士はがんワクチンについては楽観的に考えている、としています。この言葉を信じ、是非、がんワクチン治療の研究が進み、名実ともに第4のがん治療法となることを期待しています。

医療連携担当 小松崎

2011年4月 4日

 東日本大震災から3週間が経過しました。津波、そして、原発事故・・・。
このような状況に対し、どのように向き合っていけば良いのか分からないまま、
ただ刻々と時間だけが過ぎていっている感があります。

 そんな中、世界から沢山のエールが連日届いています。
 「日本は必ず復活する!」と。

 と同時に世界では、日本はこのような未曾有の大災害に直面している"にもかかわらず"「どうして日本人は冷静なのか、不思議だ、何故パニックにならないのだろう」と
海外の主要メディアが驚きと尊敬の念をもって報じていることを、しばしば耳にします。

 今朝、ある方を通じて、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」に香港人が節をつけて歌った
「被災地への応援歌」がインターネットで紹介されていることを知り、早速聴いたところ、私自身とても勇気づけられましたので是非ご紹介させて頂きます(以下がアドレスです)。

  http://www.youtube.com/watch?v=SooQIlusv8k

 この「雨ニモマケズ」で始まる文章で有名な宮澤賢治は、まさに今回の被災地である岩手県花巻市の出身です。彼が生まれる2カ月前の1896年(明治29年)6月15日、マグニチュード8.5の大地震(明治三陸地震)が発生、大津波となって東北太平洋沿岸に襲いかかり、2万名を超える死者が出たそうです。
 さらに、1923年(大正12年)9月1日には関東大震災が発生、そして彼が亡くなる半年前の1933年(昭和8年)3月3日、岩手県沖に再び大地震(昭和三陸地震)が発生、東北沿岸は大津波による被害を受けました。
 このように、宮澤賢治は誕生の年と最期の年に自らの故郷が大災害(さらには途中関東大震災も)に見舞われたことが、彼が「雨ニモマケズ」を晩年の手帳に自戒の訓として記していたことにつながったのではないかと指摘する学者もいるそうです。

 この「雨ニモマケズ」は、第2次世界大戦前後の日本の教科書に必ず載せられていたそうで、この文の自己犠牲の精神を戦前の軍閥政府は国民を戦場に駆り立てるための道具として使い、戦後は新政府およびGHQが利用し、焼け跡の中に立ち上がった国民に対して質素と堅実を呼びかけ、一日も早く国が復興できるよう献身的な努力を求めるのに役立ったと考えられています。このように私達日本人は、小さな島国に住む者として、繰り返し訪れる自然の猛威と長年共存してきた歴史からか、「雨ニモマケズ」の哲学に強く反応することができる底力を特別強く持っているようです。

 「火事場の馬鹿力」で象徴されるような、普段は眠っている力が「ある状況」を契機として発揮されるということは、近年では遺伝子のスイッチのオン(On)-オフ(Off)の関係で説明できるようになりました。
 遺伝子研究の第一人者である筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、「遺伝子というのは運命的に決定されたものではなく、遺伝子にはオンオフの機能がある。このオン-オフは一生固定されているものではなく、与えられた環境によって変化し得るのだ」と述べています。
 遺伝子より環境因子の方がその後への影響が大きいことについては、「生みの親より育ての親」の諺にもあるように、家庭でも会社でも人は良い環境にあってこそ成長することは当然の事実として知られています。また、「がん」の発症原因に関する研究においても環境因子の影響の大きさは明確に証明されています。実はこの遺伝子スイッチの概念、これからの新しい「がん治療」を考えていく上でも非常に重要なものです。

 遺伝子は働くべき時に働き、休むべき時には休んでいる、ごく当たり前のことですが、これが本来の遺伝子のスイッチのオン-オフの理想的なバランスです。そうやって、すべての生命(いのち)は発生し、維持されています。
 ところが「がん細胞」の場合、この本来のバランスが崩れている状態にあることが分かっています。通常このような異常細胞は、アポトーシス(細胞自殺)を起こすか、免疫細胞によって除去されることになっているのですが、それがいずれも適切に機能しないために臨床的に「がん」として診断されるほどに大きくなってしまうと考えられています。
 これを遺伝子のスイッチの視点で捉えると、がん細胞の増殖を引き起こしてしまう根本の原因は、そのがん細胞を取り巻く周囲環境にあるということが示唆され、逆にその環境の回復を契機にがん細胞のスイッチのオン-オフバランスまで回復され得る、ということにつながっていきます。
 従来の医学では理解できないような経過をたどるがん患者様においては、このような変化が体内で起こったと考えられていますし、新しい抗がん剤「分子標的治療薬」や特異的がん免疫療法などに代表される最新のがん治療は、このような遺伝子スイッチに着目して研究開発が進められているのです。

 日本は必ず復活できる!と、歴史を知る海外の人々が私達の力を信じ、期待してくれています。
 「雨ニモマケズ」の精神を根底に持つ日本人は、こういう時だからこそ、本来の遺伝子のオン-オフバランスを必ずや取り戻すことができるはずだと。同時に、これからの世界全体の方向性・環境をも考慮した新しい形を、日本が発信していくことを世界は求めています。
 「あれほどの危機的状況であった"にもかかわらず"、さらに日本は進化した!」
近い将来、世界にこう評価されている、誇り高き日本であることを、私は強く信じています。

セレンクリニック東京
院長 髙橋 秀徳


「雨ニモマケズ」 宮澤賢治
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ
サウイフモノニ ワタシハナリタイ

2011年3月12日

 現在、世界的に長年の独裁政治への不満が爆発し、中東を中心として市民が行動を起こしています。このきっかけとしては、フェイスブックなどを介して民衆のレベルで双方向性かつタイムリーな生の情報のやり取りが可能になったことが一因として指摘されています。

 先日2月28日放映のNHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか。第3回"熱狂"はこうして作られた」は大変興味深い内容でした。当時の我が国のメディアは、いわゆる人としての倫理感よりも「国益」を第一優先とした報道へと流れて行ってしまった経緯がわかりやすく説明されていました。当時のメディアは結果的には皆一致団結して、戦争を推進するのに政府にとって都合の良いように情報を国民に伝えることに終始するようになってしまい、民衆レベルには実際の真実が伝えられることは最後までありませんでした。

 さらにこのような情報の流れが怖いのは、一旦、上から下への流れができてしまうと、これを最初に意図した張本人であるはずの政府やメディアすら、戦争推進の流れを止めることができなくなってしまったこと、と番組の中で専門家が指摘していました。例えば、真実を報道しようとした新聞社に対しては、戦争推進に扇動されてしまった国民側の不買運動が起こったということです。

 一方で、このような当時の我が国のメディアが果たした役割に関して、現代の中東においてはどうでしょうか。少なくとも、上から下への情報操作はもはや通用しなくなったということなのではないでしょうか。それがインターネットの存在であり、フェイスブックのような、誰でもどこでも、双方向性に情報のやり取りができるツールが持つ力なのでしょう。

 では、私たちが生活するいわゆる現在の先進諸国ならば、いつでも真実の情報が手に入るかというと、実はそうでもありません。逆に、膨大な情報の渦の中から真実を見出すには、それを受け取る側にはそれなりの能力・洞察力が求められることになります。実はこれはがん治療の世界でも同様です。

 がん治療の世界では、学会や論文などを通じて日々新しい情報が発信されています。しかしながら、実際に我が国の病院で提供されるがん治療の内容は、保険診療という枠組みの中であらかじめ国の認可を受けたものしか提供できない仕組みになっています。ここには、上から下への情報の流れに相当するものはないと言えるでしょうか?特に、我々が専門とするがん医療においては、世界的にも非常に頻度の高い病気として、多額の研究費や開発費を製薬企業や公的機関が投じている分野ですが、その日進月歩に保険診療のシステムは本当に対応できている、もしくは今後もできるでしょうか?

 保険診療として、新しい医療が国の認可を経る過程については、またの機会にさせていただきますが、我々が世界に誇る国民皆保険制度は、今年でちょうど50周年を迎えました。確かに、日本の国民皆保険の素晴らしさは改めて言うまでもありません。しかしながら一方では、国民医療費はすでに年額30兆円を超え、さらに年々その増加傾向は留まるところを知りません。その大部分をがんの医療費が占めている現実があります。私たちはこのままの保険制度を本当に維持し続けることができるのか、またがん医療において保険診療が果たすべき役割とは何なのか、超高齢化社会へと真っ先に突入する日本の医療制度の在り方を世界中が注目しています。

 現在の中東での現象は決して他人ごとではないと思います。政治も医療も同様で、日本に生きる私たち一人一人が正しい情報に基づいて自らが判断し、将来の世代のために自律的に行動していかなくてはいけない時代に生きているのではないでしょうか。

セレンクリニック院長 髙橋秀徳

2011年3月 8日

 少し前になりますが、1月29日(土)、池袋サンシャインシティ文化会館におきまして、ホリスティック医学で名高い、帯津三敬病院 名誉院長 帯津良一先生と、当院 高橋院長の講演による「最新がん治療セミナー ~あきらめないがん治療~」(主催:テラ株式会社)を開催いたしました。開演前のかなり早い時間から参加希望の方が見え、席が埋まっていきました。やはりがんで苦しんでいる人々は多く、でもあきらめずにがんと戦おうとしている方がこれほどいるのかと実感させられました。

 私たちは免疫療法専門のクリニックとして、また自由診療クリニックとして、他ではできない最先端のがん治療、それも副作用が少なく体に優しい治療を患者さまに提供しようと考えており、すい臓がんやメラノーマといった難治性がんをはじめ、あらゆるがんに立ち向かうべく努力を続けています。今回のセミナーにおいて、「何か我々として皆様のお役に立てることはないか」という思いで帯津先生の講演を聴いておりましたが、私たちが是非実践すべき"場の力を高める"という考え方を与えていただきました。

 人間が生きる様々な"場"のうち、患者さまが過ごす病院やクリニックという"場"において、「患者さまを治すんだ」という医療者の強い気持ち、また、「ここにくると何だかリラックスできる、落ち着く」などといった雰囲気作りが、患者さまにとっての治療+αの"力"になるのではないかという考え方に共感しました。

 私たちは患者さまに「通院が苦にならない」、「来ると元気がもらえる」と思っていただけるような"場"の提供を目指します。帯津先生、ありがとうございました。

医療連携担当 川上

2011年3月 4日

「嫌な気持ち」は頭の中をすぐにいっぱいにしてしまいます。
「嫌な気持ち」でいっぱいなのは、「もったいない」と私は思ってしまうのです。
私自身、気持ちの切り替えは容易ではないのですが...

がん患者さまは様々な「嫌な気持ち」を抱えているのではないかと思います。
様々な「不安」だったり、がん治療による辛い気分だったり、いろんな事にイライラしてしまったり...

もし、そんな「嫌な気持ち」を抱えていたなら、
少しでも解消することができるのならば、
ほんの少しかもしれませんが楽になるのではないかと思います。

そのために、
私たちを活用して下さい。

気分転換に、昨日あった出来事をお話ししましょう。
些細な事でも、分からないことがあれば聞いてください。
辛いと思うことを吐き出してください。

私たちセレンクリニックのスタッフは患者さまの「嫌な気持ち」を少しでも忘れさせたり、解消できたり...そんなことができれば、とても嬉しいです。
そして、もし「嫌な気持ち」で占めていたあたまの中に少しでも隙間ができたら、
「楽しい気持ち」「嬉しい気持ち」で埋まってくれると、笑顔の時間が少しでも増えてくれると、いいなと思います。

そして
あなたの、これからのために。
御自身のことをよく知って、
いろんな情報を得て、
たくさん活かしてください。

「嫌な気持ち」を解消できるかもしれません。

セレンクリニックの「セレン」は「セレンディピティ」という言葉が由来です。
「求めずして思わぬ発見をする能力。思いがけないものの発見。運よく発見したもの。」という意味です。これから、患者さまが様々な良い発見に出会うことを切に願います。

ちなみに、その他の「嫌な気持ち」の解消方法ですが、
医療者だけでなく、時には患者さま同士の交流も良いようですね。
また、いっぱい笑ったり、無理のない範囲で出かけてみたり、自然に触れてみたり...

私自身は...
挑戦したいと思っていたけれど、
やらずにきてしまったことに挑戦してみようかと、
「趣味」に集中してみようかと思います!

                          セレンクリニック看護師 池田

2011年3月 3日

こんにちは。

先日、セレンクリニックのがん免疫療法について患者さまの御家族に御説明する機会がありました。結果的には、残念ながら治療を開始することは難しいということでした。

その時、「もっと早くこの治療を知っていれば良かった・・」というお言葉をいただきましたが、実はこういうお言葉は多くいただくのです。その度に、「まだまだ努力が足りないな」という思いが募ります。

セレンの課題の一つは、「この治療をもっと多くの方に知ってもらうこと」です。患者さまや主治医の先生にこの治療をもっと知っていただきたい、そのためには学会等で治療成績をどんどん発表していかなければなりません。最近では、セレンをはじめとした医療機関にがん免疫療法の治療技術を研究・提供してくださっているテラ株式会社と慈恵医大柏病院や慶応大学医学部との共同臨床研究が発表されました(*)が、こうした研究成果の発表も今後待たれるところです。

今後、国内外問わず学会や論文の発表をしていくことが重要です。4月に米国癌学会(AACR)、次いで6月に米国癌治療会議(ASCO)があります。がん治療で権威ある学会ですので、興味深い内容があれば報告させていただきたいと思っています。

なお、我々の発表等についての情報は、ホームページ上で都度、結果をご報告していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

セレンではすい臓がんや肺がんをはじめ多くの患者さまが治療をされていらっしゃいます。しかし、「もっと早く知っていればよかった・・・」というお声を多くいただいているのも事実です。「多くの患者さまにがん免疫細胞療法、特に樹状細胞ワクチン療法を知っていただき、"標準治療に次ぐ第4の癌治療"としてまずは認知いただくこと、これが我々のまず当面の使命だと強く感じています。

今後の活動を通し、この治療がより多くの方々に認められるよう、さらに努力していきたいと思いを新たにしたところです。

セレンクリニック医療連携担当 小松崎

<本文中の注釈>
テラ株式会社と東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科との共同臨床研究

テラ株式会社と慶応義塾大学医学部との共同臨床研究

2011年2月24日

このたび、クリニックのホームページをリニューアルさせていただきました。
「患者さまやご家族の方に、我々の治療(がん免疫細胞療法)をより分かりやすくお伝えしたい」という気持ちから、今回リニューアルをさせていただきました。

分かりやすく作ったつもりですが、どうしても伝えたいことが多く、うまく伝わりきれないこともあると思います。

疑問点やご意見等ございましたら是非お気軽にご連絡ください。スタッフ一同、皆さまからの御意見を取り入れ、より良いクリニックにしたいという気持ちを常に持ちながら、日々の診療にあたっております。

なお、このブログは、ホームページには載っていないスタッフの"生の声"を皆さまにお伝えしていくツールにしたいと思っています。その時々の情報等もタイムリーにお伝えできれば良いと考えております。

医療は日々変化しています。たとえどのような状況下であっても、患者さまそれぞれが主体的に治療を選択し、本来の生命力が発揮できますよう、そしてあなたがあなたらしく生きることができますよう、私達はガン治療のコンシェルジュ(道先案内人)として責任を持って全力でお手伝いさせて頂きます。

国民の2人に1人ががんになる時代です。これからの新しいがん治療の確立のために、そして次世代を担う子供達のためにも、スタッフ一同心を合わせ、患者さまとともに着実に歩んでいきたいと思っております。

髙橋秀徳
(がん免疫療法 セレンクリニック 院長)

セレンクリニックホームページ

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